徒然に、花。

日常のあれこれ話

11月に就活をやり直した話①

 

これは2019年に大阪での就職活動を頑張って夏までに内定をゲットするものの、色々迷走して病んだ挙句に11月に就活をやり直して地元に残ることにした誰かの話。まぁ私のことなんですけど。

 

就職活動。これって一般的にしんどいものだと思う。

ツイッターで「就活」と検索すると、「就活 死にたい」等のネガティブな候補ばかりが出てくる。私も就職できるか不安で泣いたことがある。

 

しかし私の場合は、人並みに不安になることはあったけれども就活自体にはそんなに苦労はしなかった。

エントリーシートも履歴書も、ハローワークで褒められる出来だったし、エピソードも悪くない。面接も緊張するけど多分得意だった。楽しかった。気に入られることも多かった。そして早いうちに、志望度が高い企業を含めた2社から内定を頂くことができた。

もう一度よく考えて、入社承諾書を提出。これで春から社会人。憧れの関西で一人暮らしができるぞとその時は嬉しかった。私は関西が大好きで、憧れていたのである。めでたしめでたし。

 

しかし問題はその後である。

 

それから長い時間を経ずに、深刻な内定ブルーに襲われた。

不安でたまらなくて毎日泣いて、悪夢を見て、もう死んでしまいたいと思った。行きたくないと、心の底から思ってしまった。家族にものすごく心配をかけてしまった。

 

何故こうなったのか。自己分析が足りなかったと言われればそうかもしれないが、人間は誰しも二面性を持っているものである。完璧な自己分析など存在しない。

 

私は元々、不安定な人間である。

昔からストレスを感じやすく、些細なことですぐに疲弊して病んでしまう。自分に自信がなくて、繊細で、泣き虫。心配性。人と関わるのが怖い。

 

そんな私だがたまにポンと楽観的で自信のある元気な人間になってしまうことがある。幸か不幸か、その時期が就活と重なってしまった。

 

就活だ!こんな地元とはおさらばして、大阪に行くぞ!私ならやれる!!

かっこいいキャリアウーマンになるぞ!営業職につきたい!バリバリ働きたい!

 

その時の私は割と本気でそう思っていたし、それこそが自分にふさわしい道だと思っていた。

こうして勢いのまま県外で就活をすることにした私は、順調に選考を重ねて内定をゲットした。

交通費と宿代は、10万円以上かかったのではないだろうかと思う。なんてこった。学生には痛すぎる。

 

給料の面では、大阪の企業に行った方が圧倒的に良かった。地方はどこもそうだろうが、私の地元も給料が安い。そのため公務員志向が強い。あれはもう志向というより信仰である。大阪の私が受かった企業は給料よし、ボーナス3桁万円、社宅ありと条件は良かったと思う。なぜそんな待遇を蹴ったのか…私も未だにどちらが良かったのか本当の意味では分かっていない。もしかしたら「あの時行っておけばよかった」と後悔する日が来るのかもしれない。

 

しかし私は事実として、内定を蹴った。入社承諾書を提出した後に。内定式の直前に。

 

人間は誰しも二面性を持っていると書いたが、私は内定ブルーと共に不安定で病みやすくて泣き虫な自分に戻ってしまった。あの時の自信に満ちた元気な私はどこへやら、

「こんな私が遠く離れた土地でやっていけるのか」

「一人暮らしなんて無理なんじゃないか」

「知ってる人も誰もいない。病んだら勢いで飛び降りて死ぬんじゃないか」

「バリバリ働くのなんて向いてないのでは」

「営業なんて無理なんじゃないか」

毎日、不安で押しつぶされそうだった。

 

しかし、これ以上に待遇の良い企業は他に見当たらなかったし、私の悪いところだが一旦決まってしまうとなんだか気が抜けて全然動けなくなってしまう。

この時も、不安を抱えて病みつつも、また就活するのが面倒なのもあって、「これは内定ブルーだ。よくあることだ。行ってみたらきっと楽しいに違いない。それまでの辛抱だ」と言い聞かせて何もしなかった。実際、内定ブルーというのは本当によくあることらしい。

 

こうして何もしないまま7月になり8月になり9月になり、10月になった。

この間ずっと、気分が落ちて「行きたくない行きたくない」と泣く時期と、「行ったらきっとどうにかなる」と楽観的に考えようとする時期を繰り返した。

それでも気分が落ちている時の落ち具合は酷いもので、引きこもって毎日泣いては「もう死んでしまいたい」と考えた。

 

それに加えて、私はずっと地元が好きになれなかったが、秋頃から「ここを離れたくない」という気持ちが急に芽生え始めた。

離れる時になって初めて愛着が湧くという話を聞いたことがあるがそれなのかもしれない。

沈んだ気持ちで日々を過ごす中で、些細なことが胸に沁みた。空が綺麗だとか、風が心地よいだとか、夜景が綺麗だとか。

 

そして今まであまり行ったことのないエリアに足を伸ばして、地元の広さを知った。私はこの場所は狭くて退屈だと思っていたけれど、そんなことはなかった。私が知らないだけで、私が思っていたよりもうんと広かった。色んなものがあった。色んな場所があった。それも知らずに狭くてつまらない場所だと決めつけて、地元を知らないまま外に出て行くなんて勿体ないと思った。目から鱗が落ちる思いだった。

 

また色んな場面で、発展の可能性を感じた。大きなショッピングモールができている、駅が拡大されている、新たな施設ができている。

根拠のない直感で、この場所はきっともっと発展していくと感じた。私は生まれ育ったこの場所で、発展を肌に感じながら見守っていきたいと思った。この変化の中に身を置きたいと思った。

 

そこで私はようやく気づいた。

「これはただの内定ブルーではないのではないか」

私はどうやら本当に行きたくなくて、そしてこの場所に残りたいと思っている。

 

そう気づいてしまうともう、自分を誤魔化せなくなった。

本心では行きたくないのに、「行ったらどうにかなる」なんて言い聞かせて気持ちを紛らわせようとしてもダメに決まっている。

今動かないと、どうにかしないと、きっとものすごく後悔すると思った。

 

就活をやり直そうか。

 

そんな思いがやっとちゃんと頭に浮かんだ。もう10月末。もうすぐ11月だ。

 

就活のピークは夏。しかもここは地方。つまり求人数は少ないし、人気のある企業はとっくの昔に募集を締め切っているだろう。

 

11月になる。間に合うだろうか。

 

 

                                     →②に続く